雑記 Intoxicated Lotus
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 2010年代も折り返し、今年に入って、各音楽雑誌が2010年代前半のベスト・アルバムをこぞって発表しています。そういうわけで私もそれに便乗し、昨日Twitterで2010年代前半の個人的ベスト・アルバム10枚を発表しました。しかしやっぱりコメントなしだとあまりにもお粗末な気がしたので、今回こちらの記事でサラッと紹介できたらと思います、サラッと。ちなみにどのアルバムにも思い入れがあるので、順位づけはせずABC順で紹介していこうと思います。それでは参りましょう。


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Alanis Morissette『Havoc And Bright Lights』

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 感想記事

 よく、激情型の女性は母親になると丸くなると言います。彼女もそのひとりなんじゃないかな、と感じたのがこの作品。はじめて聴いたカナダのシンガー・ソングライターAlanis Morissetteのオリジナル・アルバムです。それこそ代表曲「You Oughta Know」のような激情ソングはリアルタイムではなくベスト盤で知ったクチなので、きっと怖い人なんだろうなってずっと思っていました。ベスト盤のあとに発表された『Flavors Of Entanglement』も興味はあったので一応試聴してみたものの、なんだか難解で合わないな、とスルーしていました。どうやらそのあと結婚して出産したらしく、復帰第一弾シングル「Guardian」が発表されました。そしてこの曲に見事にハマってしまいました。晴れやかなギター・ロックで非常に素晴らしい。前作での難解さは消え、明快に"私はあなたを護る"(国内盤の和訳は"保護者"で苦笑)と歌い切る姿には、女性としての強さ、そして母性を感じました。何よりこの晴れ渡るジャケットを見て、これでアラニス・デビューを果たそうと決めました。内容はジャケットに偽りのない、爽やかな内容。アラニスは怖い人という先入観を持っていたからか、ものの見事にやられてしまいました。メロディーの美しさが際立つポップ・ロックがアップからスロウまで勢揃いしています。それでも「Celebrity」や「Numb」などでかつての激情が見え隠れしている辺り一筋縄ではいかないですけれど、ちょうど前作から今作までのあいだに椎名林檎・東京事変にハマった身としては、そういう路線も全然平気になっていました。特に最後の「Edge Of Evolution」は本当にカッコいいエッジの効いたラウドなロック・ナンバーです。よく『Jagged Little Pill』に尽きる人と言われがちですが、特に彼女に苦手意識を持っているかたにこそ、是非聴いていただきたい名盤です。
Recommend Songs:「'Til You」「Empathy」「Spiral」「Receive」「Edge Of Evolution」


Alexandra Burke『Heartbreak On Hold』
 本人があとから"やりたい音楽ではなかった"と否定した、UKの『X-Factor』優勝者Alexandra Burkeの2ndアルバムです。私、いわゆるゲイ受けする曲が大好きなので、全曲ゲイ受けしそうなこのアルバムはまさにパラダイスでした。1stでもその片鱗は見せていましたが、1stの新装盤からの先行シングル「Start Withou You feat. Laza Morgan」でそれは徐々に彼女の路線へと変わっていき、この2ndはそっち方面へ振り切った内容となっています。とはいえ流行のエレクトロを取り入れた上質なダンス・ナンバーから温かなミッド、ピアノ・バラードまで揃っていて、聴き手を決して飽きさせません。「Elephant feat. Erick Morillo」がいい例ですが、全体的にひんやりとした雰囲気が漂っているのも素晴らしい。最後にゴスペル調のピアノ・バラード「What Money Can't Buy」を配置するというマラ様をリスペクトしているかのような構成も素敵。中盤には「Love You That Much」のようなフレンチの香り漂うおしゃれなナンバーもあって、そちらではKylieの面影もチラチラ。本当にこれからもっと期待したいアーティストだったのに、このアルバムを自ら否定するだなんて絶対に許さないからな!(当時は元Destiny's ChildのKelly Rowlandもダンス路線の珍作『Here I Am』を発表し、のちのちサラッと手のひらを返してR&Bに戻ったので、黒人ディーヴァにとってはそういう時代だったのかもしれません)
Recommend Songs:「Heartbreak On Hold」「Elephant feat. Erick Morillo」「Let It Go」「Love You That Much」「Sitting On Top Of The World」「What Money Can't Buy」


Alicia Keys『Girl On Fire』

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 正直2nd『The Diary Of Alicia Keys』でピークを迎え、より荒削りにソウルを追求した土臭い『As I Am』、かと思えば瑞々しい『The Element Of Freedom』と、なかなか試行錯誤を繰り返していらっしゃったアメリカの才女 aka ピアニスト aka シンガー・ソングライター。Jamelia(懐かしい存在)からSwizz Beatzを略奪して結婚したり、1stの10周年記念盤をリリースしたり、こちらの期待値がすっかり最底辺まで下がっていたところ、新作発表の一報が。もうどうでもいいけど一応惰性で買っとくか、という限りなく低いテンションで買ったところ、ものの見事にやられてしまいました。Bruno Mars、Emeli Sandeといった売れっ子(このふたりのアルバムは優等生すぎる)が作曲で参加し、上質度は割増。そして母は強しと言いますか、新しいAlicia Keysの誕生を感じさせる力強さを持った、まさに燃える女の情熱がほとばしったアツいアルバムに仕上がっています。特に「Brand New Me」はMVでカツラをむしりとるところが最高ですし、「Outro」に至っては炎が燃え盛る街中でピアノを狂ったように弾きながら絶唱しているかのよう……それでいて「Tears Always Win」のような朗らかながら切ないシンガロング系のアンセミックな曲も入っているんだから本当に素晴らしい。ちゃっかり子どもを参加させたり、EDMを彼女なりに落としこんだり、公私混同夫婦曲もあったり、正直珍盤に仕上がる要素ならたくさんあったんですが、それが上手い具合に調和して、見事な傑作に仕上がったと思います。
Recommend Songs:「Brand New Me」「New Day」「Tears Always Win」「That's When I Knew」「Outro」「Girl On Fire


Beyonce『4』

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 正直『Beyonce』とどちらにするか迷ったんですが、『Beyonce』はリリースからまだ1年で冷静な判断がくだせないことと、『Beyonce』で耳にしたサウンドのはじまりがこのアルバムからであること、そして何より私はポップ人間なので、今回は適度にポップだったこちらを選びました、アメリカのエンターテイナーBeyonceの4枚目のアルバム『4』です。BeyonceはかねてよりBeyonceというジャンルを確立させたいと語っていて、そのあとに発売されたのがこのアルバムです。『Beyonce』で開花したオルタナティヴR&Bの片鱗は、特に冒頭3曲で感じることができると思います。また、Babyfaceがいい仕事をした「Best Thing I Never Had」の晴れやかなピアノ・サウンド(ただし恨み節)、Diane Warrenがいい仕事をした「I Was Here」のスケール感は流石といったところ。何より当時は結婚して愛の絶頂にいて、その喜びでつい4回も転調を繰り返しちゃう「Love On Top」はハイライトでしょう。「Countdown」「End Of Time」ではアフリカンないつもの彼女を堪能できますし、これまでのファンならば必ずどれかには引っかかりがあるという点でとてもポップだと思います。そして深遠なる「1 + 1」ではじまって、そのパワーを爆発させるヘンテコ・ナンバー「Run The World (Girls)」で終わる劇的な潔さ……本当に最高なアルバムだと思います。ふぉ~っ!
Recommend Songs:「1 + 1」「Best Thing I Never Had」「Party feat. Andre 3000」「Rather Die Young」「Love On Top」「Countdown」「I Was Here」「Run The World (Girls)」


Christina Aguilera『Lotus』

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 感想記事

 こちらも『Bionic』とどちらにしようか迷ったんですが、まあ『Bionic』は完全に珍盤なのでこちらです。2010年代前半は落ち目の印象が拭えない、アメリカが産んだジ・オリジナル・クイーン・ディーヴァことChristina Aguileraさん。映画『バーレスク』ではあんなにスリムだったのに、とメディアはその激太りした体型にばかり注目。アギさんもアギさんでオーディション番組『The Voice』のコーチに起用され、お茶の間人気を取り戻せる絶好のチャンスだったのにいろいろとやらかして、すっかり嫌われ者になりました。しかし客演では何故かヒットを飛ばすという珍現象が渦巻くなか、ひっそりとリリースされた本人名義のアルバムがこちらです。『Bionic』での実験的なエレクトロ・サウンドは身を潜め、上質なポップ・チューンがズラリと並びました。『Bionic』でいち早く起用したオーストラリアのシンガー・ソングライターSiaは続投で、上質なバラード郡を提供。『The Voice』繋がりで神の歌声を持つCee Lo Greenとカントリー・シンガーBlake Sheltonが客演で参加。結果的にヴァラエティ豊かなアルバムとなって、ともすればとっちらかりそうなものなんですが、珍曲「Circles」でさえ浮くことなく、アギレラの歌声一本でしっかりと貫かれた世界観が痛快です。最近は痩せて人気を取り戻しつつあるので、再びこのアルバムが日の目を見ればいいな、とひっそり思っています。このブログではじめて取り上げた思い入れ深いアルバムでもありますしね……そして次はロックだそうなので、各位どうぞもろもろ心にご準備あれ。
Recommend Songs:「Lotus」「Army Of Me」「Red Hot Kinda Love」「Your Body」「Let There Be Love」「Blank Page」「Around The World」「Best Of Me」「Just A Fool feat. Blake Shelton」


Clare Maguire『Light After Dark』
 UKが産んだ魔女系シンガー・ソングライターのひとりClare Maguireさん。生けるレジェンドCher、情念ディーヴァToni Braxtonと並ぶ、"男声"の持ち主でもあります。そんな彼女のデビュー作にして最新作なんですが、これはもう最初の1秒から最後の1秒まで一度も崩れることなく貫かれた圧倒的な世界観に尽きます。ただひたすら荘厳で、スケール感があって、たとえ可笑しいことをしていても可笑しいと言えないような威圧感……こんな言葉を使うとすごく馬鹿っぽいですけど、すごくアートですね。最近はライヴEPをリリースしたり、誰得な活動が続いていますが、完全なる過去の人になる前に、どうかまた新しいアルバムでいい意味で手のひら返しをさせてほしいです。特に「Bullet」は本当に心があたたまるバラードなので、是非……(って必死で売り込んでるのにMV削除してんじゃねえよ!)
Recommend Songs:「The Shield And The Sword」「The Last Dance」「Bullet」「The Happiest Pretenders」「Sweet Lie」「Break These Chains」「Ain't Nobody」「Light After Dark」


Florence + The Machine『Ceremonials』

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 こちらもClare Maguireと同じくUKが産んだ魔女系シンガー・ソングライターのひとり、Florence + The Machineです。正直1st『Lungs』は民族っぽさと土臭さがあまり好みではなくハマれなかったタチなんですが、今作は徹底してバロック・ポップという新しい世界観。もうまさに、優雅で耽美。そしてどこか禍々しい。それでもしっかり緩急がついていて、最後「Leave My Body」に至ってはJAPANの雅楽を思わせる壮大さです。それでも難解にならないのはひとえにメロディーが素晴らしいからで、それはCalvin HarrisによってEDMアレンジされた「Spectrum」で照明済みです。紡ぐメロディーが際立っていて、かつ独特の歌声を持っている魔女系シンガー・ソングライターは、EDMととても相性がいいと思います。バロック・ポップって受けつけなさそう、というかたはまずこのEDM Remixのほうから入ってみるといいかもしれません。今年は待望の3rdアルバム発売ということで、とても楽しみにしています。
Recommend Songs:「Only If For A Night」「Shake It Out」「What The Water Gave Me」「Spectrum」「All This And Heaven Too」「Leave My Body」


Leona Lewis『Glassheart』

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 先ほど紹介したAlexandra Burkeの先輩となります、元祖『X-Factor』優勝者Leona Lewisさんの3rdアルバムです。1stアルバムはザ・優等生なポップ・アルバムで、2ndアルバムでは少しダンス・ポップのフレイヴァーを織り交ぜていました。そのダンス・ポップ路線が極まったのがこの『Glassheart』です。とはいえ1stや2ndで見られたバラードやポップもしっかりあるんですが、1stにおけるカタログ感、2ndで見られた試行錯誤感がなく、しっかり肝が据わっているアルバムです。Alicia Keysと同じくこちらにも売れっ子Emeli Sandeが作曲で参加していて、元々上質な歌声の持ち主なのに上質度は割増。最初から最後まで、ただただ瑞々しく、ただただ繊細なアルバムです。なのに全然売れなかったのが本当に残念……そりゃ旬は過ぎちゃったかもしれませんけど、ちょっと悲しかったですね……特に「Lovebird」はトンだ名ミッドなので、各位何卒!
Recommend Songs:「Trouble」「Un Love Me」「Lovebird」「Shake You Up」「When It Hurts」「Glassheart」「Fingerprint」


Nelly Furtado『The Spirit Indestructible』

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 カナダの個性派シンガー・ソングライターNelly Furtadoさんの4thアルバムです。Timbalandと組んだ『Loose』がバカ売れ、ベスト盤をリリース、今作はすっかり"あの人は今"状態になってからのリリースとなりました。ですが、これまでで一番アルバムとして真摯に取り組まれた作品で、曲間が繋がっていたり、その世界観はお見事です。彼女は元々民族音楽がルーツなんですが、それを捨て去ってアーバン方面にシフトした『Loose』がバカ売れしたという皮肉……しかしただの原点回帰というわけではなく、ダンスの要素もしっかりあったりするんですよね、それこそ最近ニュージーランドの個性派シンガー・ソングライターKimbraが発表した「Miracle」に通ずるような、シャンパン色のディスコを感じさせる「Circles」は時代の先を行っていたと思います。先行シングル「Big Hoops (Bigger The Better)」ではブレイク・ビーツやチョップト・アンド・スクリュードという流行を取り入れていましたし、今の彼女が民族音楽と再会を果たしたら、といった感じの名盤だと思います。なのでこれが全然売れなかったのは本当に悲しい。特に「Waiting For The Night」の祭り感はスペイン語圏に、そして最後の「Believers (Arab Spring)」の疾走ロック感は万人受けしそうなのに……もうメジャーでの活動にはあまり興味がないそうなので、これも致しかたない流れなのかもしれませんが、去年はFergieやGwen Stefaniが復活したことですし、彼女にも是非復活していただきたいところです。
Recommend Songs:「Spirit Indestructible」「Big Hoops (Bigger The Better)」「Waiting For The Night」「Circles」「Believers (Arab Spring)」


No Doubt『Push And Shove』

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 感想記事

 で、その復活したGwen Stefaniさんですが、彼女は元々No Doubtというスカ・バンドのヴォーカルで、そこからソロ・デビューを果たしてバカ売れしただけなので、本当に久方ぶりにバンドとしてのアルバムをリリースしてくれていました。それがこの『Push And Shove』なんですが、私正直スカってよくわかってないんですね。そしてレゲエ系が苦手なので、きっとハマれないだろうと思っていたんです。ですがもう全曲最高で、聴いていて心地がいい。きっとこの心地いい横揺れ感がスカなのね、と勝手に認識したくらいには教科書のような作品だと思います。そしてあくまでポップなので、スカと言われなければ私みたいなジャンルに無頓着な人間ならスカとは到底気づきません。ソロしか知らない人は、「Early Winter」「Baby Don't Lie」辺りの路線だと思っていただけるといいと思います。それにやっぱりGwen姐さんの歌詞と歌声はやっぱりどこか切なくて、夏に聴くとホントにジーンとしてしまいます。ザ・名盤。どうぞご賞味あれ。
Recommend Songs:「Settle Down」「Looking Hot」「One More Summer」「Push And Shove feat. Busy Signal & Major Lazer」「Easy」「Gravity」「Undercover」「Undone」「Heaven」「Dreaming The Same Dream」


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 以上、2010年代前半のベスト・アルバムと銘打っておきながら、すべて2012年以前からの選出という暴挙を果たしました。それでもディーヴァ、ソウル、魔女、インディー/オルタナとなかなかヴァランスの取れたラインナップになったんじゃないかな、と思います。そしてやっぱりこういう記事で紹介するアルバムは感想記事も書いちゃってますね。やっぱり紹介するだけ大好きってことなんでしょう。この10枚はそのうち全部感想記事書きたいなあ……あと、裏方としてのBruno Mars、Emeli Sande、そしてDiploはすごく優秀なんだな、と感じられた企画でもありました。本人名義だと意外とそうでもない(失礼)のに、流石は元々職人さんな人たちやでぇ……というわけで、完全に自己満足な記事になってしまいましたが、これをきっかけに何かにハマっていただけるとこれ幸いです。サラッと紹介するつもりがクドクドと長々語ってしまいましたが、まあそれもご愛嬌ということで……それでは、いつか邦楽篇もできることを願って、さよおなら! ぶおっ! くっせ~!


 15/04/17
 なんだかとても大きなムーヴメントになったなあ、と無駄に冷静にボーっと考えてしまっているんですが、このCD NO OWARIみたいな時代で、現在71万枚強の売上だそうです、三代目 J Soul Brothers(以下三代目JSB)の『PLANET SEVEN』。普段はとりとめのないことは755に、ちょっとだけとりとめのあることはTwitterに垂れ流している私ですが、なんだか755が緊急メンテナンスでログインできないし、Twitterは文字数制限があるし、ここはいっちょ雑記記事書くか! ってことで書きはじめましたこの記事。
 三代目JSBさんの今回の快進撃は完全に(HIROさんを筆頭に)優れたブレインがいてこそだと思うんですが、彼ら各々のキャラクター性はもちろん、何より楽曲が大きく貢献していると思っています。だって正直私だって元々は「三代目(笑)」みたいな立ち位置でしたし、まさかメンバー全員の顔と名前が一致するくらいまで(岩ちゃんprpr)ハマるとは思ってませんでした。それは私の周りの人たちも同じで、「R.Y.U.S.E.I.」を好きだと言う人や、カラオケで「R.Y.U.S.E.I.」を歌う(そしてあまりの難しさに撃沈してランニングマンで誤魔化す)人を見る機会が格段に増えました。そりゃここまでファン以外をファンにしちゃったらレコ大獲っちゃうよね、極めつけにアルバムこんなに売れちゃうよねって思ってしまいます。
 そんなわけで(どんなわけだ)、今回はできるだけサラッと(?)四季シリーズに触れていこうと思います。ただ、曲について語ってしまうと長くなるので、今回は歌詞のほうにスポットを当ててみようかな、と思っています。それでは参りましょう。

 最初に「S.A.K.U.R.A.」についてですが、同じ四季シリーズ・同じSTYワークスといえど、「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」とはまったく別モノだと捉えたほうがいいと思います。まずジャケットの色がこの曲はピンク、「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」はブルーと、ヴィジュアル面で差別化がはかられています。そしてこの曲はSTY単独作曲かつSTYの"ルーツ"と言ってもいいファンク・サウンドで、"トレンド"であるPOP EDM「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」を共作したMaozonは参加(というかデビュー)していません。そしてこの曲の歌詞は名前に"Japanse Soul"を冠する彼らのテーマのごとく、和がテーマの"硬"な仕上がりになっています(なんてったって桜ソングですからね、舞い散らないほうの)。逆に「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」は、仲間感や楽しさ溢れる"軟"な歌詞に仕上がっています。そして最後に、「S.A.K.U.R.A.」にはSWAYによるラップがありますが、「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」にはラップがありません。ここまでハッキリした対比がなされていると、とても美しいですね。こんな感じで「S.A.K.U.R.A.」と「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」がどれだけ違っているかを長々と説明したところで、肝心の本題に入ろうと思います。
 この四季シリーズ、STYが手がけた歌詞は、特に歌い出しのAメロの部分がそうなんですが、文学的な仕上がりなのが最大の特徴だと思います。2014年のSTYワークスはすべて追いましたが、やはり職人さんなので、提供先によって歌詞の感じも変えていらっしゃる。そしてこれらは四季シリーズということで、四季をテーマにしているということは、より日本人の心の琴線に触れる必要があるというか、叙情的でなければならないというか、そんな大前提があったと思うんです。それを踏まえて歌い出しのフレーズをそれぞれ見ていきましょう。

・「S.A.K.U.R.A.」
 儚いや 泡沫のscene
 紡ぐきせ 通過点の
 胡蝶の舞 夢を見て
 常なら世に想いだけが募

・「R.Y.U.S.E.I.」
  あやかにひとつ
 銀のい SHOOTING STARS

・「O.R.I.O.N.」
 ソー泡のよう瞬き 空焦がし
 冬の大三かく形がシグナル もし誰見つけたら

 はあ、美しい……まるで文学小説からそのまま抜粋してきたような文学性……季語を取り入れた叙情的な仕上がりはもちろんですが、このワンフレーズごとの押韻の見事さですよ。基本的にはで踏まれていますが、「R.Y.U.S.E.I.」ではとつで踏む技も見られますし、無闇矢鱈にではなく、きちんと効果的な部分(伸ばす音とか高い音とか)で効果的に使われているのが流石ですね。私は何より「O.R.I.O.N.」が好きで、特に斜体にした部分の爪弾くかのように飛び跳ねるような感じが、ヴォーカルのディレクションも含めて本当に最高だと思います。日本語の歌詞を英語のように乗せるのがSTY流(それゆえ空耳不可避)……また、やっぱり「R.Y.U.S.E.I.」と「O.R.I.O.N.」が兄弟のような存在だと再認識した部分が、歌い出し冒頭の名詞です。どちらもあまりJ-popの冒頭で聞くような単語ではないチョイスですし、本当に文学小説のどこかからそのまま抜き出してきたみたいなはじまりかたがオリジナリティを放っていて本当に最高です……""も"ソー"も母音が同じではじまるところといい、さいすいという2文字の日本語をひとつの音符に乗せているところといい、なんというか、STY節全開! といった感じがたまりません。そして必ず比喩が使われている点ですね。硬質な「S.A.K.U.R.A.」では如くですが、軟質な「R.Y.U.S.E.I.」「O.R.I.O.N.」では様な・ようなになっていて、細かなところまでの職人としてのこだわりを感じます。言ってしまえば「S.A.K.U.R.A.」もブリッジ部分で"ように"というフレーズが出てくるんですが、こちらは流石に"如く"じゃちょっともたつきそうですし、それに情景を表現するうえで一番大切なのは一番最初のAメロだと思うので、Aメロで情景が聴き手にしっかり伝わってしまえば、私はそれで"勝ち"なんじゃないかな、と思います。

 と、まあいろいろと細かいところをネチネチと取り上げてしまいましたが、私が言いたいのは、レコ大に選ばれた理由が単なる流行りだからではない、というのが嬉しいんだということです。確かに「R.Y.U.S.E.I.」は大流行しました。それは本当に身を持って肌で体感しました。そしてその曲調がブチ上がるPOP EDMであることも、特に若い世代のアンセムとして、とても強いと思います。現に今、みんなランニングマンやってるじゃないですか。盛り上がりやすいものはシンプルなものだと言いますが、ランニングマンを見ていると本当にそうなんだなーと実感します。コレオグラファーELLY、アンタ最高よ……まあそれだけでも十分すぎるんですが、私は今回の記事で取り上げた歌詞が本当に大きい意味を持っていると思います。世間に広く深く浸透する"いい曲"とは、流行りのアーティストが歌い、トレンドの曲調で、みんなで踊れて、あとふたつ私が大切だと思うのは、みんなで歌えること、そして気持ちよく聞こえることです。みんながより気持ちよく歌えるように、より気持ちよく耳に・心に響くように、歌詞をつける人は押韻を含め、こういう工夫をたくさん施して、"いい曲"のエッセンスをこんなに散りばめてくれています。それをシンプルなかたちで、かつこれでもかとふんだんに取り入れたSTYの功績、そしてそんな曲がレコ大の大賞に選ばれたことは、J-popにとって本当に大きなことだと思います。改めまして、三代目JSBの皆さん、STYさん、Maozonくん、お偉方の皆々さま、おめでとうございます。2014年はまさに、あなたたちの年でした。

 で、アルバム『PLANET SEVEN』についてなんですが、"売れる"ということは本当に素晴らしいことですね。言いたいことは正直たくさんあるんですが、トレンドのホーンを取り入れつつ10年前のRich Harrisonのごときファンク・サウンドとミックスした「Eeny, meenie, miny, moe!」を冒頭に、その直後に大ヒットした「R.Y.U.S.E.I.」を、そしてアルバムの最後に「O.R.I.O.N.」を配しているという構成だけで、なんだか"勝ち"だなって思ってしまいます。ズルい。あれだけ「R.Y.U.S.E.I.」と「O.R.I.O.N.」を兄弟だって一緒くたにしておきながら、実は「R.Y.U.S.E.I.」はハイライトで、「O.R.I.O.N.」はオーラス的存在だと私は思っています。一番盛り上がる「R.Y.U.S.E.I.」に、イントロ(Maozonくん本当にGJ)を聴いただけで終わりを察知してサビで一緒に泣いちゃう「O.R.I.O.N.」……一番近いのに一番対極にいる、みたいな。そんないじらしい2曲です。そういうわけで、この2曲の兄弟喧嘩(1枚に同居していると不思議とそんな感じがしますw)でひとしきり感情を揺さぶられたあとは、是非STYがメイン・コンポーザーとヴォーカルを務めるユニットASYの「S.T.A.R.S.」を聴いて心を浄化していただきたいです。何故なら嬉しいことに、私たちは音楽のなかであれば、"EARTH"と"HEAVEN"を自由に行き来することが許されています。そう、それこそが本当の"MYSTICAL COSMIC WONDER"……「R.Y.U.S.E.I.」「24WORLD」「O.R.I.O.N.」と、LDHのアーティストとともに2014年を彩ってきたSTY×Maozonによる宇宙系POP EDMの完成形ですので、何卒よろしくお願いいたします! それでは、ここまで長々とありがとうございます!


 15/02/26
ASY「S.T.A.R.S.」の感想記事(超長文)はコチラです。何卒。
 こんにちは、当ブログ『Intoxicated Lotus』管理人にして、一昨日よりディーヴァかるた製作委員会々長を務めております、ゆずひめです。
 突然ですが、このたび思いつきで『ディーヴァかるた』という、ディーヴァのあるあるネタをかるたにしたシリーズをTwitterではじめました。私が普段から仲良くさせていただいているブロガーさんをはじめ、いろんな方々がかるたの投稿やネタの提供、そしてかるたの閲覧というかたちで参加してくださっています。ディーヴァを愛する人なら誰もがディーヴァかるた製作委員会、是非ともTwitterで#ディーヴァかるたシリーズのハッシュタグを使ってどしどし投稿・閲覧してください。

ルール
①すべては愛ゆえ・根底にはリスペクト、ただの誹謗中傷はNGです
②ディーヴァの画像にあるあるネタを貼りつけて、自由にかるたを作りましょう
(C)ディーヴァかるた製作委員会をどこかに記載してください
③ツイートにハッシュタグ#ディーヴァかるたシリーズをつけてかるたを投稿する
ツイートを非公開にしている状態で投稿すると他のメンバーが閲覧ができません
④気に入ったかるたを応援して盛りあげましょう
ただし無断転載や二次加工はNGです

 また、かるたは作れなくてもネタの提供で参加したいという方や何かご質問のある方は、当記事のコメント欄もしくは私のTwitterアカウント@akaredlipsberryまでお気軽にどうぞ。僭越ながら、私が代理でかるたを作らせていただきます。もちろん、その際はネタ提供者としてクレジットさせていただきます。

 以下、私が作った『ディーヴァかるた ~其の壱~』です。クリックすると拡大画像(激重)が別窓で開きます。こちらを参考に、皆さまのユーモアと愛で、現在委員会のメンバー総出で鋭意製作中の『ディーヴァかるた ~其の弐~』を一緒に盛りあげましょう。それでは、どんな形にせよ、皆さまの参加を心よりお待ちしております。




 14/10/27


 最近「NIPPON」のB面曲「逆さに数えて」の最後の英詞を知りたいという方のアクセスが増えている当ブログですが、申し訳ないことにまったくそのことについては触れていなかったので、せっかくですし椎名林檎の異常なまでの執着心(つまりプロ意識)についても少しお話しようと思います。
 それでははじめに「逆さに数えて」の最後の英詞の部分ですが、

 The wind is blowing fast
 The sun is shining bright

 を繰り返して歌っています。そしてA面曲である「NIPPON」の最後の英詞は

 Hurray! Hurray!
(万歳!万歳!)
 The wind is up and blowing free on our native home
(我らが祖国にが吹いている)
 Cheers! Cheers!
(乾杯!乾杯!)
 The sun is up and shining bright on our native home
(我らが祖国にが射している)

 を繰り返して歌っています。どちらも歌詞がほとんど同じなので、訳も公式に発表されている()内のものをそのまま当てはめていいと思います。
 さて、気づかれたでしょうか。通常シングルのA面曲とB面曲は対になって発売されるものですが、彼女の場合、対にするところをとことんこだわります。今思いつく限りで箇条書きしますと

「NIPPON」=面、文字、ハレ(非日常)、最後が英詞(
「逆さに数えて」=面、文字、( 日常 )、最後が英詞(

 といった感じです。2曲を並べたときに文字数がきちんと揃うよう、「NIPPON」は全角で表記するのが正解です。また、日本には"ハレとケ"という対比を表す言葉が存在し、A面が祭典・儀式・晴れ舞台等の派手な非日常を表す"ハレ"ならば、B面はそれまで積み重ねる日常を表す"ケ"をテーマにした曲で、ここも対比されています。また、最後の歌詞を英詞に揃えるだけでなく、その英詞も同じ位置に同じ単語を配していて、完全に対比させています。
 この対比もすごいですが、実は今では結構控えめになっていて、アルバムの収録曲のタイトルの文字数を真んなかの曲を軸にシンメトリーにすることはもちろん、以前はそれに加えて曲・アルバムの再生時間をシンメトリー・ゾロ目にしていたり、タイトルだけでなく参加しているミュージシャンまでシンメトリーになっていたり、歌詞の1行辺りの文字数が揃っていたり、とにもかくにも恐ろしい執念です。これは彼女自身の身体が幼少期の大手術で左右対称ではないコンプレックスゆえだと言われていますが、それにしても徹底的なこだわりようです。それゆえアルバムを買うのがすごく楽しみなアーティストのひとりなんですけどね。
 私が一番面白いと思ったのは、東京事変の5枚目の(実質ラスト)アルバム『大発見』からのシングル「空が鳴っている」の歌詞です。1行辺りの文字数がすべて揃っていて小説のような佇まいなんですが、1番と2番とで歌詞が呼応しているのはもちろんのこと、まったく同じ位置にある単語が色付けされていて、それを縦読みするとこの曲のテーマを表す単語が浮かび上がるところです。

1番
 高速道路何処まで攫ってくれるの?
 呼吸のおとだけがふたつっている

2番
 高速道路何時まで囲ってくれるの?
 鼓動はあじ気なくひとついている

 そうです、残響です。こういう遊び心(もしくは執着心)があるからこそ、彼女の作品は配信などではなく絶対にCDで買いたいと思えるんです。こういう工夫もせずにCDが売れないと嘆くアーティストはさっさと売るための努力してください。
 なんだか最後が愚痴みたいになってしまいましたが、少しでも椎名林檎ワールドに興味を持っていただけたら嬉しいです。私が今回触れたことはすべて序の口、知れば知るほど奥が深いのでご注意ください。なんせ私、5年くらい前まで彼女のことは苦手でしたからね! 今では完全なるヲタです! 見よ! この痛々しい姿を!

 はい、それではこの辺で失礼いたします。今回紹介した「NIPPON」と林檎流ミュージカル・ソング「ありきたりな女」が収録された、11月5日に発売される5枚目のアルバム『日出処』、是非チェックしてみてください!(宣伝) それでは!




 14/10/13


 今年に入って、新体制(=「NEW ORDER」)を掲げたエンターテイナー宮野真守ことマモたん。30代になって新体制を掲げた彼が、この先どのように進化していくのか、ファンとしてはとても楽しみなところですね。そこで、この記事では彼のこれまでの音楽活動の軌跡を振り返ろうかと思います。しかし、すべて振り返ると大変なことになるので、彼が「そう、そう! こういう音のこういう曲がやりたかったんです!」と興奮し、「(宮野真守に)新しい武器と新しい魅力を与えてくれた、とても大切な存在」と語る作家STYさんとの曲に限定することにします。

 こちらがSTYさん(アイドル風)です。
 STYさんの素晴らしさは私が語り出すと気持ち悪くなるうえに脱線・長文化間違いなしなのでSTYさんのお仕事はコチラで各々確認していただくとして、この記事ではマモ関連に特化してお話を進めて行こうとと思います。例えばPerfumeの専属作家は中田ヤスタカですし、AKB48の専属作家は秋元康ですよね。そんなふうに専属作家ならすべての曲にガッツリなんですけど、STYさんはマモの専属作家というわけではないにも関わらず、これまでに9曲(Remixを含めると13曲)関わっていらっしゃるんですね。これはマモが自らのアーティスト活動において求める曲と、STYさんの作る曲の需要と供給が一致してるからだと思うんです。まさに黄金タッグ。ベスト・パートナー。それを抜きにしてもこのふたりはお互い好き好き言ってるので、何度もタッグを組む理由は他には必要ありませんよね。きっとマモたんファンの方々もこのふたりが繰り広げるブロマンスに菩薩スマイルを浮かべていらっしゃるはずです。
 さあ、長々と語ってきましたが、そろそろ曲のほうに行きまっしょい!

2010年
「BODY ROCK」
(アルバム『WONDER』M6)iTunes
 記念すべき初タッグとなった曲は、最初に相応しい、互いを探り探りな感じが音にも表れた焦れったいミッド……なわけがありませんでした。なんだこの曲は。夏にピッタリな涼やかなアルバムのなかに、突然の荒々しいシャウト。聴いていた人はマモの言葉を借りるなら「何事?」となること必至です。ファンクがチラつくサウンドで、フックがメイン→コーラス→メイン→コーラスという構成。とはいえ観客にマイクを向けていたらメインがおぼつかなくなってしまうリズムの速さ。歌詞も最初はエロ路線かと思いきや、よくよく聴いていくとエンターテイナーとしての自分を奮い立たせてファンに歌いかけている歌詞にも思えてきて……STYさんは初タッグにしてマモに新体制(=「NEW ORDER」)を提示していたんですね。そしてこのふたりはその4年後に直球で「NEW ORDER」という曲を発表することになります。一度掲げていたことを改めて提示することは、とても難しいことだと思います。お互いそれだけ努力してそれだけ成長し、それでも飽くなき探究心を持ち続けるモチヴェーションは、並々ならぬものだと思います。そのふたりの原点がこの曲だと思うと、私はとても敵わないと思わず息を漏らしてしまったのでした。

「DISCOTIQUE09」(シングル「ヒカリ、ヒカル」M2)iTunes
 2010年は2度タッグを組みました。普通アルバムは一区切りといった感じで、アルバムで起用した作家は次からは起用しないケースが多いんですが、このふたりがそこで終わるような関係ではないことは我々マモ・クラスタ略してマモクラならわかりますよね。今回はタイトル通りディスコティックな曲です。タイトルの"09"(オー・ナイン)は"all night"と韻を踏んでいます。とはいえただ踊れる曲というわけではなく、エロティックなんです。フックでタイトルを1文字区切りでスムースに歌うところが個人的にベスト・エロ・ポイントなんですけど、この曲海外だったら"ass"が引っかかってEXPLICIT指定(放送禁止用語的なアレ)が入りません? STYさん、お堅い家庭用にCLEAN ver.を……とはいえSTYさんはFワード大好きですからね。海外に行ったら"fuck"を連呼するお方ですし、

Britney Spearsの「Work Bitch」について以下のようなコメントをしていたので、歌詞に対するこだわりは相当なはずです。

そういうことですので、お堅い家庭の育ちであっても、この曲が聴きたいならちょっぴり「Nasty」になっちゃいましょう!? と背中を後押ししてくれる曲でもあります(そんなわけない)。エロに目覚めるならば声優としても活躍するマモの歌声が適任だと思いますよ。レッツ・エロ。そしてこのSTY直伝のエロい歌い方は、宮野真守のスタンダードな歌唱法となり、日々進化していくのでした。

2011年
「MOONLIGHT」
(シングル「オルフェ」M2)iTunes
 はい、ちょっと落ち着きますね。この曲はちょっとまともに語らなきゃ怒られるというか、私が私自身を許せないと思うので。STYさんは"moonlight"という単語が好きなのか、たった今紹介した「DISCOTIQUE09」でもフックでこの単語が出てきていました。ですが、同じ"moonlight"でもまったく意味合いが違ってくるのがこの曲です。2011年は東日本大震災が起きた年です。日本人なら誰しもが何らかのことを思った出来事だと思うんですけど、それはこのふたりだって同じでした。マモも彼なりの想いをSTYさんに伝えたし、STYさんもその想いを汲み取りつつ、自らの想いも一緒にこの曲を作りました。きっとあの時期は誰もが疲弊してたと思うんです。連日不安が募り、自分の無力さを嘆いた人だっていると思います。この曲はそんな思い詰めてしまう人にとって、そんなに気を張らなくていいんだよ、と優しく寄り添ってくれる曲です。誰も責めやしないし、少し休んで楽になろうよと……許しの歌ですね。もうこの曲はSTYさんもマモもゼロから制作したわけじゃなくて、溢れ出してやまない想いをぎゅうぎゅうに詰め込んで、自分たちが出せる精一杯の優しさで包んでできた曲だと私は勝手に思ってるんですね。誰もが笑うことさえ不謹慎のように思えて生きづらかったあの時期に、このふたりだけがすべてを悟って手を差し伸べるような立場にいたとはとても思えません。このふたりだっていっぱいいっぱいだったと思います。無理して背伸びして、そんな自分たちもちょっとは肩の力を抜かないとねっていう、複雑な心情がひしめき合った曲だからこそ、こんなにも涙腺を刺激してくるんだと思います。フックの"おやすみ"の部分は1文字ずつ音階が上がって、柔い月の光に掠れてしまいそうなファルセット。大サビの"きっと月まで届いたのならば"の部分の絶唱では遂に涙がポロリです。直後の"太陽が反射して"でまた優しい歌声に戻る辺りが、感情の昂ぶりと我に返ったような冷静さを表しているようで、変な表現ですが、人間が作って人間が歌ってるんだよな、と思ってしまいます。そしてすごいことに、このあとの部分はそれまでと違って迷いのない優しい歌声になるんですよね。上手く笑えずに「おやすみ」と言っていた2番までと、優しく微笑みながら「おやすみ」と寄り添う最後……本来は太陽のマモが、このあまりの大惨事に自分が月になって必死に光を出そうと力みすぎていたのが、自分の太陽としての役割に気づいて、月をアシストする形で、そして月に反射という力を借りる形で優しい光を出すようになった感じというか、それが日本人にも当てはまることに気づいて、本当に素晴らしい曲だと感動しました。なんだかこの曲は作り手も聴き手も感極まっていて、本当に稀有なことだと思います。2011年はこの1曲だけだったのが、余計にスペシャル感を出していますよね……よし、テンション元に戻すぞ! ちなみに。ここまで語っておいてアレですが、たとえいっぱいいっぱいでもSTYさんはプロフェッショナルなので、きちんと普遍性をもたせた曲に仕上がっています。なので、こんな裏事情知らなかったという人でも、うまくいかない日の夜に聴けば癒やされること間違いなしです。"MOON LIGHT"の語尾の処理が若干エロティックでドキッとしちゃいますけどね。名曲ですので是非。

2012年
「EGOISTIC」
(アルバム『FANTASISTA』M1)iTunes
 祝☆アルバム・リード曲抜擢。
 遂にエンターテイナーとしての自覚を強く持ち、3rdアルバムを『FANTASISTA』と命名したマモたん。どこまでもエンターテイナーとしての自分を探究する姿勢こそ「EGOISTIC」だと言わんばかりに攻めた曲に仕上がっています。アプローチとしては「BODY ROCK」系統でしょうか、こちらもファンクネスがチラチラ顔を出しております。タイトル→フレーズ→タイトル→フレーズという構成もタイトルが耳に残る構成ですね。それにしてもこの曲とんでもなくトリッキーじゃないですか? フックの"キミが決めればいい"の部分は1音ごとに音が下がっていて、スマートに歌いこなすには相当の歌唱力が必要だと思います。ドSTYの挑戦状その1ですね。そしてそれにきちんと応える宮野真守、流石です。そうじゃなきゃ一方通行の片想いで切な――間違いました。この曲のラスサビ前にとんでもないエロ・ヴォイスが拝めるんですが、これ、STY印のキラキラにゃーん(STYさんが作った曲にはSTYさんが作ったという目印に、"ふぁ~ん"みたいな効果音が入っています)をマモが歌声で表してみたって感じに聞こえません? エゴイスティック! エロティック! ディスコティック! MVでの腹チラ・舌なめずりもたまらないともっぱらの評判でした。

「IT'S THE TIME」(シングル「ULTRA FLY」)iTunes
 私、STY×宮野真守のアップ・ナンバーだったらこの曲が一番好きかもしれません。大人になればなるほどハッとする歌詞なんですが、「BODY ROCK」の続編と言ってもいいのかもしれません。エンターテイナーとしての宮野真守の在り方の歌パート2みたいな。この曲の持ち味はなんといってもフックのまくし立て歌唱で、しかもその部分は全部同じ音なんですね。なのでなんだかジャブを食らってるような、アンタ慢心してない? って殴りつけられているかのような、そんな歌い方がとてもツボなんですよ。そして私は最近になってニヤリとしてしまいました。Ariana Grandeの新曲「Break Free feat. Zedd」もサビでそんな感じの歌唱法が取り入れられてるんですよ。マモたんもSTYさんのことをホンモノだと賞賛していますが、STYさんはJ-POP作家でありながら、生まれながらに本格的に洋楽が根付いている方なんだな、と改めて再認識いたしました。素晴らしい。

2013年
「THANK YOU」
(シングル「カノン」M2)iTunes Amazon
 この曲については以前の特集記事STY×宮野真守、ときどき山Pにて1記事まるまる使って紹介しているので、是非こちらを読んでいただければ、と思います。こちらの記事はSTYさんご本人に喜んでいただけた記念すべき記事ですので、是非とも。よろしくお願いします。手抜きとかじゃありませんからね!笑

「UNSTOPPABLE」(アルバム『PASSAGE』M1)iTunes
 祝☆アルバム最多参加。
 もはやマモにとってアルバムの1曲目はSTYさんがお決まりの流れになってきましたね、素晴らしい。これまでは毎作1曲参加でしたが、今作『PASSAGE』では3曲参加(「THANK YOU」はバラード調のアレンジ「THANK YOU (reprise)」として収録)ということで、アルバムもよりアーバンな仕上がりになっておりました。そしてそのアルバムの幕開けを飾るこの曲は、なんとドラムンベース。私もドラムンベースには全然明るいほうではないんですが、とりあえずドラムがすごく強調しているジャンルだと思っていただければハズレはないかと思います。最初こそSTYさん最近自分がドラムンベースのユニットASYやってるからって、みたいな糞生意気なことも思ったんですけど、このアルバムのテーマは未来で、歌詞も未来から始まり、そして何よりドラムンベースは近未来を感じさせるジャンルなので、私は即座にSTYさんのTwitterアイコンに向かって五体投地をかましたのでした……ちなみにこの曲のイントロは、後に今紹介したユニットASYのアルバム『#Zero_ASY』(購入はコチラ、感想記事はコチラ)に収録されている「HEAVEN & EARTH」という曲のイントロにも登場するので、マモクラならばASYのアルバムを持っていれば他のマモクラとは一線を画せておしゃれですよ!(露骨な宣伝)
 それにしても、「UNSTOPPABLE」とは"止められない"を意味する単語ですが、サビで"UNSTOPPA"まで歌って音が途切れて「あれれ? マモちゃんゆうて止まったで?」と一瞬思わせておいて"BLE~~~~~"と伸ばしてフェイントをかます感じ、いかにもドSTYさんが考えそうなことですよね。そしてこの曲は間奏がカッコいいんですよ、時計が逆方向に回り出すような感じ。是非ともチェックを。

「passage,」(アルバム『PASSAGE』M11)iTunes
 はいキタコレ。表題曲抜擢。そしてマモ作詞。遂にSTY×宮野真守の黄金タッグもここまで来てしまいましたよ奥さん。元々はこの曲、STYさんとマモたんとグレッグ氏のユニット"マッスル・メモリーズ"用の曲を書こうという案から始まったらしく、なんとコーラスはSTYさんが担当しています。いよっ、蜜月だねぇ!
 曲はというと暖かなミッドに仕上がっていて、どこかモータウン・ソウル調な趣きもあって、とっても私好み。1番はAメロ→Bメロ→フックの進行なのに、2番はBメロからフックじゃなくてソウルフルなフェイク満載の間奏に突入するのがとても憎いですグギギ。慈しむような歌声も徐々に熱を帯びていき、最後のフックでは前に進もうという強い意志を持った熱唱に変わっていて、そこも素晴らしい。そして歌詞は未来に進む前にいっちょ振り返ってみるか、といった感じで、マモのことを誰よりも愛しているマモクラの方々ならばおめめがうるうる間違いなし。最後はそんな過去を愛おしむかのような「――ッ」みたいな吐息で終わって、そこがまた愛おしい。そしてエロティック。相変わらず大サビが素晴らしくてですね、転調までしちゃうんですよ!? ちょっと卑怯なんじゃないですか!? だいたいSTYさんの大サビって全部素晴らしいんですよ! ぷんぷん! ……ゲホッゲホッ! ちなみにこの曲はMVも作られ、B'zの稲葉浩志さんよろしく犬とたわむれるマモのエヴァー・グリーンな姿に、私は思わず息をついてしまうのでした(涙目)
 こうして、宮野真守は未来へと進む準備が万端。ここで第1章が幕を閉じるのです。だってSTY×宮野真守の黄金タッグの集大成感がすごくないですか? STYさんの起用率がどんどん高まって(それだけ信頼と愛もどんどん高まって)、マモが詞を書いて、STYさんが歌って、歌詞も振り返る大団円系で! これからどうなっちゃうの!? 感動しちゃうけど、なんだかこれを機にタッグが解消されてしまいそうでちょっぴり不安……と思ったところで!?

2014年
「NEW ORDER」
(シングル「NEW ORDER」M1)iTunes
 覚醒キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
 年は明けて2014年、黄金タッグは"MAX's back!"と「Tacata'」を歌いださんばかりにカムバックを果たしたのです。そう、初のシングルA面起用というとんでもないサプライズをもって。
 曲はというと、まさにドSTYの挑戦状その2。バッキバキのEDMで、サビで声を張り上げる張り上げる。そしてそのキーの高いこと高いこと。私みたいなのが歌ったら声がひっくり返って大惨事ですよ。ああマモ、なんて頼もしい……"ムリしても止めないで"と高らかに前進を宣言するこの曲は、まさに新体制の1曲目に素晴らしいアンセム。なんせ冒頭が"It's another one M&M NEW ORDER"ですからね。ひと昔ほど前Marshall Mathersという少年が自身のイニシャルM&Mを早口で発音してEminemという化け物ラッパーに成長したアメリカン・ドリームさえ思い浮かびます。だけどムリだけはしないでちょうだい。
 そしてこの曲はマモ主演のアニメ『うーさーのその日暮らし 覚醒編』の主題歌で、ゆるキャラのようなうーさー様さえ8頭身になってしまいそうなアゲアゲっぷり。そりゃSTYさんもうーさー様のTシャツをご購入しちゃいますよね。セルフィー撮っちゃいますよね。ある意味嫁のTシャツを着てるようなものですよね。チッ、夫婦かよ。
 そんなこんなで、私のうんこみたいな不安をよそに、黄金タッグは今後も大活躍してくれちゃいそうです。なんか一皮剥けてブロマンス以上の関係になったような感じです。もはや戦友的な。本当に楽しみ。本当に大好き。STYさん愛してます。マモたん愛してます。そして私にCDをくださったかなみさん、あなたはマモクラのミューズだ。おかげで私はマモは青ジャケが多いことに気づきました(そこかよ)。ありがとうございます! そして王様レコードさんお願いです! 是非とも『M&M REMIX』を配信してください!

 以上、私なりのSTY×宮野真守の第1章まとめでした! ここまで読んでくださってありがとうございます! それでは!




 14/08/05
 遂にSTYさんの画像をブログに貼ってしまった……
 上半期ランキングは毎年無視しているんですが、今回はあくまで中間発表ということで、順位はつけずにシングル・アルバムを洋邦混ぜてそれぞれ10作品、一言雑なコメントをつけて50音順にピックアップしようと思います。


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シングル

・Lady GaGa「Do What U Want feat. Christina Aguilera」
圧倒的なガナり芸×ガナり芸

・Rita Ora「I Will Never Let You Down」
Rita Oraを期末記事で見る日が来ようとは

・Sia「Chandelier」
圧倒的な狂気の勝利

・嵐「GUTS!」
平均年齢10代感が最高

・小野賢章「FANTASTIC TUNE」
途中でシンガロング調になるのが面白い

・坂本真綾「SAVED. / Be mine!」
攻めすぎワロタ

・椎名林檎「NIPPON」
これはもうKANPAIっすわ。

・NICO Touches the Walls「天地ガエシ」
ジャンプ系主人公の味方

・BoA「Shout It Out」
アルバムに向けて高まる

・宮野真守「NEW ORDER」
8頭身系弾ける覚醒ダンス・チューン


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アルバム

・Kylie Minogue『Kiss Me Once』
蓋を開ければ良質ポップな色欲BBA

・Lea Michele『Louder』
上質ポップの玉手箱

・Mariah Carey『Me. I Am Mariah...The Elusive Chanteuse』
R&B、Hip-Hop、ディスコ、ゴスペル、自己愛

・Nina Nesbitt『Peroxide』
オルタナとポップの按配が50/50

・Sophie Ellis-Bextor『Wanderlust』
映画を観ているかのような視覚的な作品

・aiko『泡のような愛だった』
泡のように消えてしまいたい

・ASY『#Zero_ASY』
感想記事はコチラ

・JAY'ED『HOTEL HEART COLLECTOR』
コンセプトモノはいと強し その1

・JASMINE『Welcome to Jas Vegas』
コンセプトモノはいと強し その2

・BUMP OF CHICKEN『RAY』
長くても飽きさせない力


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 以上です。ちなみに上半期ベスト・ミニ・アルバムはCocco『パ・ド・ブレ』、上半期ベスト・コラボレーション・アルバムは石川さゆり『X -Cross II-』、上半期ベスト・カヴァー・アルバムは椎名林檎『逆輸入 -港湾局-』です。
 年末記事でこれらの作品がどれだけ活躍するか、下半期にどれだけこれらを超える作品に出会えるか、とても楽しみです。手抜き記事でごめんなさい。


 14/07/01

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